施設の訪問コンサート
今年に入ってから2度、老人ホームの訪問コンサートに参加しました。
1つ目はここ3年くらい年に何回か呼んでいただいているミラノの老人ホームにソプラノの方と。
2つ目は、ミラノのすぐ南のオペラという名前の街の老人ホームに、テノールの方と。
どちらのホームもお元気な方が多く、カンツォーネや有名なアリアの時は一緒に歌ったり、質問コーナーでバシバシ面白い質問が飛んできたり。
老人ホームではないけれど、大学の教職課程で特別支援学校に短期で行った時に、自由に色々演奏してくださいと言われて知ってる限りの子供向けの曲を必死でピアノで弾いて、当時そういう経験が初めてだったのでこれでいいのか?と最初はよくわからなかったけれど、少しずつみんなが集まってきて歌ったり踊ったりすごく楽しかったのを覚えていて、あれから15年経って異国で私、カンツォーネとか弾いて笑ってるなあって、そんなこと15年前は全く想像してなかったなあって。
そして4月には、イタリア盲人会連合でもコンサートに出演しました。
テノールのニコラスはアルゼンチン人で、もちろん十八番はタンゴ。
彼ともカゾーニ先生のレッスンで知り合って、一緒にタンゴとか弾くようになったのはたまたま彼がレッスンにタンゴを数曲持ってきたのでレッスン終わりに、私タンゴ好きだからコンサートとかあったら聴きに行きたいと言ったところ、ちょうど数日後に彼がバンドネオンとピアノのコンサートをするからと言って招待してくれました。
ところが、そのコンサートに出ていたピアニストがコンサート後に「やっぱり自分にはタンゴは無理だ!」と決別宣言。
そこからニコラスに誘われて、私もすんごいピアノソロとかできないけれど、やれる範囲で弾いてます。リズムの取り方とか、昔から聴いてるタンゴから真似してるだけではありますが、楽しいです。なんでだかさっぱり理解はできないのですが、やっぱり踊りのリズムはどのジャンルでも本来人間の持つリズムと一致しているから気持ちがいいんでしょうね。コントロールしているようで、見えない何かがピタリと一致してる。
かれこれ30年以上ピアノと共に生活していますが、常に人前で演奏する前のストレスというか苦しみは軽減することはなく、むしろ年齢とともに増えている気がしますが、それでもそのストレスを上回る喜びなのか、気持ちよさなのか、ともかく不思議な心地よさが人前での演奏にはあるので続けられるのだと思います。こうしてありがたいことにどこにいても、どんな音楽でも、弾き続けられることが嬉しいです。